4年前の廃墟探検で体験した不思議な話

  今日も朝から雨です。そろそろ山菜取りに行こうと思っていただけに、残念です。

 今から4〜5年ほど前でしょうか?テレビで日本や海外の廃墟を巡る番組が放送されていました。タイトルは「廃墟の休日」で、田辺誠一さんが出演していました。

 廃線になって使われなくなった駅や、船でしか行けない、湖の対岸に立つ豪華なホテル跡など、いわゆる「肝試し」ではなく、明るい日中に訪れ、栄えていた昔を偲ぶという内容だったと思います。

 私の住む街からバイクで2時間程度のところにも、閉鎖になったレジャー施設や温泉ホテルの跡などがあったことを思い出し、探検に出かけることにしました。4年前の7月のことです。

 一件目に訪れた温泉ホテルと二軒目に訪れたレジャーランドは、廃墟探検ができるような場所ではありませんでした。

 そこでさらに1時間くらい走り、少し山の方に入ったところのレジャー施設跡に向かうことにしました。そこはレジャーランドに温泉施設も併設されており、子どもの頃に家族で何度か行ったことのある場所でした。

 記憶を辿ってそこへ向かうと、きれいに舗装されていた道は崩れたり草に覆われていて、かつての面影はありませんでした。

 入り口付近の入場券売り場や遊具を納めていた倉庫などがいくつか残っていましたが、その他は草に覆われて、見えなくなっていました。

 入って来た時の道路はかなり崩れ、坂にもなっていましたので、別の道から帰ろうと先へ進みました。すると少し先にまっすぐ続く細い道が見えました。車は無理そうですが、バイクなら余裕で通れそうです。

 これ幸いと入って行くと20m程先を人が歩いていました。徐行すればその人を避けて通れると思い、ゆっくり進んで行きました。しかしその人の動きがとても奇妙なことに気付きました。手、足、首。全身をまるでタコのようにくにゃくにゃさせ、ふらつきながら歩いていたのです。更に周りには人も人家もない一本道ですので、バイクのエンジン音はよく聞こえているはずなのに、振り返ることさえしないのです。そのうち右に身体を傾け、草むらに倒れるようにして見えなくなりました。

 気味が悪くなった私は、エンジンを止めて、気づかれないようにバイクを押し、元来た道に戻ることにしました。しかしいつ追いかけてくるかという恐怖で、途中バイクを倒してしまいました。その間も「追いかけてくるかも」という恐怖の中、やっとのことで起こし、人家の見えるところに来た時は、大げさではなく「助かった」と思いました。

 あれが誰だったのか。本当に人間だったのか。今も不思議でなりません。

 その後、いくら明るい日でも「廃墟探検」には2度行くまいと思ったのは、言うまでもありません。